************************************
【 コンサルタントのインサイト 】
本シリーズは、Regrit Partnersに所属するコンサルタントが過去に
携わったプロジェクトの経験を横断的に俯瞰し、個別ソリューション
や産業に関する独自のインサイトを発信する記事です
************************************

株式会社Regrit Partners
Associate Director / Operation
小畑 和幸

目次


1.環境の変化・コンサルティング会社に求められている期待

この数年、世界は新型ウイルスの感染拡大に伴い、新しい生活様式を順応に吸収しつつ、今に至っている。その環境変化に順応に対応するために、企業は今まで以上にテクノロジーという技術に頼り、技術進歩及び新規技術の企業内採用は加速度的に伸びていった。

企業はそのスピーディーな環境適応にあたり、コンサルティング会社に依頼するケースが増えてきているが、 企業はコンサルティング会社にどのようなことを期待しているのだろうか。本記事では企業を取り巻く環境変化と、変化を求められている企業がコンサルティング会社に期待することについて述べていきたい。

われわれを取り巻く環境は、大きく目まぐるしく激しい変化を続けている。
変化の要素を2つに分類すると「1.社会情勢」「2.技術」になる。

1-1 社会情勢

我が国は緩やかな景気回復を旗印に、雇用・所得環境が改善を国策とすることで現在、有効求人倍率がバブル期並みの水準迄回復し、人手不足感が高まっている。また少子高齢化・人口減少が進むことで、長期的視点に立ってみると人手不足が継続することが見込まれており、経済の持続的成長のためには労働参加率を高め、かつ生産性を向上させていく取組が急務である。

こうした観点から、日本政府および資本市場は「働き方改革」を推し進めている。これによって誰もが生きがいを持って、その能力を最大限発揮できる社会を創り、労働市場を起点にして日本経済全体の活性化に努めている。
その具体的取組には「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」、「柔軟な働き方の導入」「女性・若者・高齢者を含めた人材活用や就業促進」などがある。

因みに、他国と比較して我が国の労働生産性は低く、またその上昇率も長期的にみて低下傾向である。ドルベース(購買力平価)に換算してみた場合も、アメリカと比べて6割程度、欧州の主要国のおよそ8割程度となっている。
こうした労働供給制約や労働生産性の低迷が続くことは需要面に対して良い影響を与えず、企業や家計の所得、消費、投資需要などが抑制される可能性がある。

1-2 技術

この数年間を振り返ると「モバイル通信のアップグレード(3G→5G)」「コミュニケーション手法の変革」「ソーシャルメディアによる生活のオンライン化」「ゲノミクスと精密医療」「車の動力変化(ガソリン→電気)」「AIとビッグデータ」「データストレージなどのクラウド化」「クラウド化からエッジコンピューティング」「技術のシェアリング化」「オムニチャネルコマース」「デジタルヘルスケア」など、技術の大幅な進歩が見受けられた。

このような環境下で、企業は継続した進化/発展を続けるためにも「イノベーションを短期間で早期に創出」する必要があり、経営者は経営資源を社内だけではなく社外に求める風潮が高まってきている。
その社外リソースの一選択肢として「コンサルティング会社」に業務委託を行う場合がある。

「コンサルティング会社」に求められる機能(組織構造)を大きく分類すると次の3つになる
  A)経営/IT/…のような業務区分による分類
  B)クライアントのビジネス(インダストリー)に合わせた分類
  C)法制度などの専門性による分類

分類ごとの役割をここで説明することは割愛するが、何れの分類においても立ち振る舞いは一緒であると私は考える。また、今までもその立ち振る舞いでお客様(クライアント)と良い関係を継続させて頂いている。ここからは、その立ち振る舞い(格好良く言うと「ポジショニング」)について、自身の経験をもとに記載する。参考になれば幸甚である。

2.ポジショニング

まず前提として、お客様をイメージしてもらいたい。
コンサルティング会社に業務委託を行うことができるお客様の場合、売上規模が大きな企業様が殆どである。売り上げ規模が大きいということは、当然のことながら社員規模も大きく、組織構造も細分化されていることが多い。

このようなお客様内でイノベーションを起こすには、様々な壁(「社内組織」「企業間」「業界」など)を越えて、互いに協働することが必要になる。すなわち、その壁を低くするように働きかけ、経営課題と解決策をお客様の組織全員だけではなく、関係する取引先含めて方向性を整えることができるようにポジショニングを行うことが最重要である。(図❶)

図❶ 当社のポジショニング

通常のコンサルタントの場合、まずは現実的ではない理想/目標を掲げお客様との合意を図る。ここまでは特に違和感を持たないが、次の工程で失敗を散見する。
その理由は、ただ一つ。社内組織を意識しすぎ、コンサルタントがお客様社員と同等に「壁」を意識した行動をとるからである。お客様側の役職と自分の役職が釣り合うか否かを考え、釣り合った人とのみ会話を行って業務を遂行しても、イノベーションを起こし、実効させることは非常に困難である。
逆に言うと、その壁を意識し、間を取り持つもしくは落とし込むことができるコンサルタントがいるといかがであろうか?企業で働く皆様は分かっていらっしゃると思うし、我々はそれを分かり振舞う必要がある。

階層ごとに振る舞う具体的なポジショニングについては、今後の記事に記載していきたい。

Contact

当社のサービスや採用に関するお問い合わせはこちらから

Contact form